二章 壬生浪士組

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翌日の朝餉を食べ終わった頃、近藤は隊士を見渡し言った。 「今日は皆に報告がある。昨日道場にいた者は知っているだろうが、北神詩季君が隊士として入隊することになった。それでは北神くん、挨拶を。」 近藤の言葉に促され、詩季はその場に立ち口を開く。 「初めまして、この度壬生浪士組に入隊しました北神詩季と申します。入ったばかりでご迷惑をお掛けするとは思いますが、どうぞ宜しくお願い致します。」 そう言って深く礼をする彼女に、隊士たちは大きな拍手を送った。 しかしその和やかな雰囲気も、土方のこの言葉で消される事となる。 「あー、そうだ。北神は昨日の入隊試験で総司を負かした程の剣の腕前を持っているからな。ちょっかい出して死なないように。」 彼のこの言葉に、拍手をしていた隊士たちから笑顔が消えた。 それを見計らったように土方はそのまま言葉を続けた。 「それじゃこの場は解散だ。各自隊務や稽古に励むように。以上。」 皆が沈んだ顔で広間から退散する中、何人かの隊士が流れを逆走して詩季の方へとやってきた。 「昨日はありがとうございました。そして、入隊おめでとうございます。」 髪を頭の中ほどで結った男が話し掛ける。 「改めまして沖田総司と申します。宜しくお願いしますね。」 「こちらこそありがとうございました。沖田さんとの手合せ、とても楽しかったです。」 笑顔で自己紹介をする沖田に、詩季も笑顔で返す。 二人とも強者と手合せをするのは好きなようで、再び手合せする日を楽しみにしているようであった。 「あ、私のことは総司と呼んでください。敬語もいりませんよ。」 「わかりました。では私のことも詩季と呼んでください。」 微笑みあう二人の所へ、次は大柄な男と小柄な男たちがやってきた。 「俺は原田左之助ってんだ。宜しくな!」 そう言ってはっはっはと笑うのは大柄な男、原田左之助。 「俺は藤堂平助。宜しくね、北神さん。俺のことは平助で良いからね?俺も詩季って呼ぶからさ。」 人懐っこい笑みを浮かべる藤堂。 二人が自己紹介を終えると、沖田はふっと笑みを消し真剣な表情で口を開く。
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