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その姉を明菜は誇らしく、また頼もしく思っている。
両親の死後まもなく、健気に生きる香織を守ろうと現れたのが義兄の英一だった。そして優人が生を受けた。
この若い夫婦は明菜の両親の分も人に優しく出来る様にと名付けた様だった。
明菜はこの3人と暮らしている。
可愛い子供との約束通り、キッチンに姉妹が並び、餃子を作り始める。タネを包みながら香織が静かに話始めた。
「彼とはどう?」
まさか急に隆の話をされるとは思っていなかったが、特に驚くこともなく明菜が答える。
「どうって…別に。」
「大会、応援に行くんでしょう?」
「うん。多分。」
「行ってあげなさいね。」
短い会話。だが、同じ血を分けた姉の思いはなんとなく本当は何が言いたいかをわかっていた。
義兄が帰宅し、香織が餃子を焼き上げる。
――あたたかい家庭。姉が築いた幸せのカタチ。
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