隙間

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 明菜とのことがあってから五日。あれから隆の携帯電話は明菜の着信を告げない。あったといえば、弟からゲームを借りて良いかなんていうどうでも良い内容の電話しかきていない。  夕飯を終えて布団を並べた柔道場で寝転びながら携帯電話の画面を睨めつける。  隆はあれからろくに電話も出来ず、最後の調整の為の強化合宿に入ってしまった。朝から夜まで地味でありながらもハードな練習メニューをこなしていく。  200m障害物と800mリレーに出場予定のインターハイ開会までもう日がないというのに、隆は調子を崩し始めていた。今日も昼間コーチに呼び出され、どうしたのかと心配されたくらいだ。  不運なことに3年の先輩からの風当たりも強い。 「おいおい、隆さぁ、、寝ぼけてんのか?インターハイなんだぞ?」  今も一足先に食事を済ませ、食堂から柔道場に戻ってくる途中、トイレから出てきた3年に言われたばかりだ。隆は頭をこれでもかとくらい下げて謝罪の言葉を言うしか術がなかった。  そんな隆を少し遅れて柔道場に戻ってきた親友の一紘(かずひろ)が背中をバンバン叩きながら励ます。 「なぁにやってんだよ~。明菜チャンとケンカかぁ?」 「…」 「んげっ!俺、地雷踏んだ!?」 「…俺さぁ、」 ――言って良いものか、迷う 「んだよ~!」  腹を決めて話してみる。 「俺さ、、、この間アキを「え?!」」  言い終わらない内に一紘が声をあげる。 「なになに!?お前もしかして…」 「一紘サン。落ち着いて下サイ。」 「んだよ~!焦らすなよ~!」 「いや、してない。」 「だったらなんなんだよ~」  一紘の目から興味の色が抜けていく。 「してないんだけどさ、、押し倒した…。」  一紘も隣で仰向けになる。 「んで?」 「…泣かれた。俺さ、何で泣いてんのか分かんなくて、ちゃんと謝りもしないで合宿に来ちゃったからさ…」 「…ふ~ん」 「なぁ、どう思う?俺が悪いよなぁ?」 「…う~ん」 「なぁってば。」  しばらく天井を見ていた一紘がようやく口を開く。 「…お前さ、そんなことでタイム落として、大会で勝てんの?」  隆は何も言葉を返せず、自分の拳を見つめた。
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