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阿利亜の笑みが、どこかおかしいと思った。
「ねぇ、阿利亜、何か隠し事してない?」
「そんな事ないわよ?」
一瞬、引っかかったように聞こえたが、阿利亜はよく言葉を噛むので、気にしない事にしよう…。
「そう。」
私はそう、返事をして、窓の外を眺めた。
綺麗に澄んだ空が、私を見下ろしてる…。
窓を開ければ、春の暖かい風が私の頬を撫でた。
今日も良い天気だなぁ…
すると、春風に乗って、桜の花びらが飛んできた。
私はそれを手に取ると。阿利亜に声をかけた。
「ねぇ阿利亜、この辺に桜の木ってあるのかな?」
「あぁ、確かあったと思うけど…。中庭に、」
「分かった。行こうよ、阿利亜も。」
「うん。」
阿利亜は私の手を取った。
久々に繋いだ手の暖かさは、まるで、春の風の様だった。
変な例えかも知れないけど…、
私はなんとなく、そんな感じがしただけだよ…。
私達が来た、中庭には、確かに桜の木があった。
「綺麗…。」
淡いピンク色をした満開の桜は、綺麗に咲いていた。
「李杏は昔から桜好きだよね、」
確かに昔から…私は桜が好きだった。
私はいつから桜が好きだったんだろう…。
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