一ヶ月

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青白く、細い身体…。 自分の指は、鉛筆の様に、なってしまっていた。 骨と皮だけ、と、言っても過言では無いほど、私は痩せてしまった…。 『気持ち悪い…。』 心のなかでそう思った。 その時 病室のドアが開いた。 「李杏?」 「離月くん…。」 離月くんは笑顔を見せた。 どうして?私に対して笑えるの? 「気持ち悪くないの?」 私は思わず、そんな事を聞いてしまった。 すると彼は、 「なんで?」 と、優しく答えた。 「私、こんなだよ?気持ち悪くないの?」 「気持ち悪いなんて思わない…、だって、君は俺が愛した女だよ?」 「キザっ、」 私は彼の言葉に即答した。 彼は「言うねぇ、」と、言いながら苦笑した。 「もう少し食えよ、」 「だって…、」 「好き嫌い多すぎ、」 「む、」 私と彼はそんな他愛もない話をしていた。 その時、また病室のドアが開いた。 「李杏!!」 「阿利亜!」 彼女はにこッと笑った。 「来月、一時的に家に帰れるらしいよ、その時の体調が良ければだけどね、」 「ホント!?」 「そのためには、もう少し太ってよ?」 そう言って、彼女は笑った。
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