君との出会い。

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あれからしばらく歩いていた時。 またふらっときた。 「おい、大丈夫か?」 「わかんない…、」 「ほら…手、」 そう言って彼は手を差し出した。 「ありがとう…、」 私は、彼の手に自分の手を重ねた。 暖かい…。 なんでこの人は、私に優しくしてくれるんだろう…。 「なぁ…、前に俺と会った事…ないか?」 「……ごめんね、私、わからないの…。」 「は?」 「記憶喪失になってるから…。今も、昔の記憶はないの…。」 「記憶喪失……?」 「うん…。」 彼は少し黙った。 そして、申し訳なさそうに、 「そっかぁ…、ごめんな、」 と、言った。 「別にいいよ、気にしてないし、」 そういうと彼の顔色が変わった。 「なぁ…、思い出したいと思わないの?」 「凄く気になるけどね、考えても、頭痛くなるだけだから、」 「なぁ、俺、君が記憶とり戻すの手伝いたい!」 「え?」 私は彼の言葉に絶句する。 「…駄目か?」 彼は不安そうに私を見つめる。 「…わたった、いいよ、」 「ホント!?」 「うん、」 「思いだせたらいいな!」 「だね。」 この時、少しだけ、希望が見えたのは内緒にしとこう。
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