夏の気配。

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夏の日差しが照り付ける坂を、一人の少女が走る。 阿利亜だ。 彼女はやたらと急いでいた。 『李杏の意識が回復した。』 そう、連絡があったのはついさっきだった。 李杏行きつけの病院まで走り、階段を勢いよく駆け上がる。 そして、ある病室のドアを開けた。 そこにはすでに、二人はいた。 そして、ベッドの上には、子供のように、スネている李杏がいた。 「ねぇ、阿利亜聞いて?怪我してるから、散歩出来ないの、」 と、若干機嫌が悪そうに、李杏は言った。 「李杏!良かったぁ!」 阿利亜は李杏に抱きついた。 あの時、奇跡的に李杏は、足の骨一本しか折れて居なかったのである。 そして、意識も回復。元気そうな李杏に会えて、阿利亜はご機嫌な様子。 「阿利亜ちゃん、良い?」 阿利亜は看護婦さんに呼ばれた。 手招きされていたので、一度廊下に出ることにした。 「どうしました?」 「あのね、李杏ちゃんの病気。完全に治ってるんだって!」 「本当ですか!」 「ええ!本当にこれは奇跡としか言い様がないわ!」 そして病室に戻ると、阿利亜は巳月に引っ張られ、また、病室の外へ…。 「何?」 「…いいから、帰るぞ、」
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