7人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
夏の日差しが照り付ける坂を、一人の少女が走る。
阿利亜だ。
彼女はやたらと急いでいた。
『李杏の意識が回復した。』
そう、連絡があったのはついさっきだった。
李杏行きつけの病院まで走り、階段を勢いよく駆け上がる。
そして、ある病室のドアを開けた。
そこにはすでに、二人はいた。
そして、ベッドの上には、子供のように、スネている李杏がいた。
「ねぇ、阿利亜聞いて?怪我してるから、散歩出来ないの、」
と、若干機嫌が悪そうに、李杏は言った。
「李杏!良かったぁ!」
阿利亜は李杏に抱きついた。
あの時、奇跡的に李杏は、足の骨一本しか折れて居なかったのである。
そして、意識も回復。元気そうな李杏に会えて、阿利亜はご機嫌な様子。
「阿利亜ちゃん、良い?」
阿利亜は看護婦さんに呼ばれた。
手招きされていたので、一度廊下に出ることにした。
「どうしました?」
「あのね、李杏ちゃんの病気。完全に治ってるんだって!」
「本当ですか!」
「ええ!本当にこれは奇跡としか言い様がないわ!」
そして病室に戻ると、阿利亜は巳月に引っ張られ、また、病室の外へ…。
「何?」
「…いいから、帰るぞ、」
最初のコメントを投稿しよう!