夏の気配。

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ソイツはカッターを高く振り上げた。 相手の顔を確認しようとしたが、帽子をかぶっているため、分からない。 李杏は、もう駄目だと思い、目をつむった。 「私の李杏に、アンタ何してんの?」 そこに、誰かが現れた。 李杏は声で分かった。 「阿利亜!」 「くっ…!」 逃げようとした女の手を、阿利亜は引っ張った。 それに腹が立った女は、阿利亜にカッターを向け、 「邪魔よ!」 と、言われたが、阿利亜は動じない。 更に腹が立った女は、阿利亜にカッターを刺した、はずだった。 カッターは阿利亜の後ろに落ちた。 「痛ぁい…、」 「…!?」 「少し刺さっちゃった、」 阿利亜はそういうと、女を押さえ付けた。 「李杏、オレンジ…、って、阿利亜ー!?」 離月が帰ってきた。 「離月、あのさ、この女の、顔を確認してくれない?」 離月は恐る恐る帽子を取った。 「お前…、同じクラスの…!」 「この女がいきなり李杏にカッターで…、」 「なるほど…警察呼ぶか?」 離月はそう聞くと、李杏は答えた。 「いや、たぶんもう来るよ。」 そういうと、サイレンの音が、聞こえてきた。
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