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袋のネズミとなった倉木に、ヘッドギアの男が話しかけた。
「久しぶりだな、倉木」
「似瀬浩也……俺と会ったことあったか?」
ヘッドギアの男……似瀬は倉木を睨み付けた。
「今日こそ捕まえる」
似瀬はストリート鬼ごっこチーム「フェイク」のリーダー。
似瀬(にせ)という名字を“偽物”にかけ、=フェイク(偽物)というのがチーム名の由来だ。
手段を選ばない戦い方が彼らの特徴でもあった。
「初対面なのに、挟み撃ちとは手荒いな。だが俺には逃げる手立てがある」
倉木は似瀬を挑戦的に睨み返し、携帯電話を耳にあてる。
「許可してやる。そして逃走ルートだ」
『少し厳しくなりそうだ』
「構うかよ」
倉木にとってその返事は、“お手並み拝見”のつもりだ。
「逃げ切れると思うな」
会話を遮るようにして似瀬が声を上げた。
負けじと倉木も言い返す。
「俺にはコイツがいる……名前は?」
倉木が電話の男に聞く。
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