No.1-〔大人の……〕

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  案の定、運搬車には二人の敵が近付いてきていた。 倉木の姿を確認するやいなや走り出す。 だが倉木は冷静だった。 コンテナの側面にあるスライド式の小さな扉を開け、中に入り込む。 素早くその扉を閉めると、コンテナの床に取り付けられた結合部分点検用のハッチを開け、運搬車の車体に出た。 運搬車が止まっているスペースの真下には、蓋の空いたマンホールがあった。 そこは外からは運搬車で隠れていて見えない。 倉木はハッチを閉めると、マンホールへ滑る様に入り込んだ。 似瀬と二人の仲間は、消えた倉木に唖然としていた。 下水道へ降り立つと、着信履歴から麻生へ電話を掛けた。 「おい、上手くいったぞ!」 『ある情報機関から、リアルタイムで衛生画像を拝借したんだ。そこの港が鮮明に丸見えだ』 あくまでも事も無げに言う麻生。 「でも、普通車が無かったら荷台には上がれなかった」 『臨機応変だ。お前があそこで挟まれ無ければもっと簡単なルートがあった』 「まぁ、とにかく助かった」 息を整えながら、額の汗を拭う。 『……よし次だ。下水道を出るには、そこから右へ20m先の排水溝に行かなければならない。そこから一キロほど下水管を歩き、外に出る。暗くて危険だ。携帯電話の明かりを使った方がいいな』  
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