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「なんですか、騒々しい」
びくうぅ!
突如、背後から聞こえた冷たい声に、わたしは一メートルぐらい飛び上がった。
どうしてくれる、この逆立った毛を!
私の背後に気配なく忍び寄れるのはやつぐらいだ。
「ゲッ、スナカゲ!」
ルトゥが苦虫を噛み潰したような顔をした。うまそうなのにな、苦虫。
「おや、これはこれはルトゥ様。いらしたんですか」
口調は丁寧だが、笑顔が怖いし目が笑ってないぞスナカゲ。
「いちゃ悪いかっ」
「はい」
きっぱり言い切った。やるなスナカゲ。
黒髪黒目に褐色の肌。異国の情緒漂うこの美青年はスナカゲという。
ホールドの世話役だ。
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