眠れる塔の美形達

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「で?用もない、のに何をしにいらしたんですか。ルトゥ様」 わざわざ「用もない」を強調して言うスナカゲの攻撃はとまらない。 「よ、用ならあるし」 ニヤリと笑ってルトゥが返す。少し及び腰なのは大目に見てやろう。 「……ほう…お忙しいルトゥ様自らどのような用件でここに?」 スナカゲの目がすぅと細くなる。 やつの目はもともと細いんだけどな。 「ホーちゃん、そろそろ目ェさめる頃だろー?」 ホールドに目を向け事もなげに言うルトゥ。 こらお前。そんなに熱い眼差しで私の主人を見つめるんじゃないっ。穢れたらどうしてくれる。シャー! 「いだっ!なんだいきなり!?ネコどーした!!?」 ふん、自業自得だバーカバーカ。 「…なぜそう思うんです」 そんな馬鹿。いや、ルトゥの様子を一瞥しスナカゲが言う。 ちょっと悔しそうだ。 「なんだったんだ…っと、や、なぜとか聞かれてもなぁ…。カン?幼なじみをナメるなよー。」 我が主、ホールドの目覚めは定期的ではない。 法則があるわけでも、前兆があるわけでもない。 それをこの馬鹿男、ルトゥはいつもホールドの目覚め付近に現れる。 私の知るかぎり百発百中。外したことがないそれは、たしかにカンとしか言いようがないのである。 そして何故かルトゥにしかわからないから、そこで唇を噛むスナカゲがルトゥ抹殺計画なんて物騒なことを考えたりする。 幸か不幸か、実行に移されたことはまだないが。 「あ、愛かもー?」 いちいちスナカゲの気を触ることを言う馬鹿だから、実行に移されるのも近い将来かもしれない。 ん?今私の前を何かが通り過ぎた気がする。 「俺、ホーちゃんへの愛に満ちあふモゴブハァ……ッ!!」 尚も言い募ろうとしたルトゥの顔面に白い物体が思いっきりぶつかった。
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