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どうみてもマクラである。
ん?何がって?そりゃあ、ルトゥの顔面にぶつかった白い物体に決まっている。
しかもあれだ。ふわふわもこもこタイプではなく、ざりざりした重いやつ。
私はあまり好きじゃない。
当然当たればかなり痛い。よほど痛いんだろう。
ルトゥは床でもがいている。良い気味だ。
「…ああ、なんてことをするんです?テュラ」
慌てるでもなく穏やかに、吹雪き吹き荒ぶ窓の外に向けてスナカゲが言った。
キィと音がして窓が開いた。
「…つい…」
現われたのは漆黒に身を包んだ男。髪と目が黒炭のように艶やかで、肌は驚くほど白い。
あまり喋らないという点を除けば特に欠点はない。
「もったいないでしょう?マクラが。」
「マクラかよ!?」
事もなげに言い放つスナカゲに、やっと起き上がったルトゥは盛大にずっこけた。
うん。いつ見ても大袈裟なリアクションだ。ウザイ。
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