104人が本棚に入れています
本棚に追加
一年の大半は眠りについているこの人物、ホールドが今回の物語の主役である。
長く伸びきり、まとわりついた淡い金の髪に隠れた顔は、目を閉じていてなお端正に整っているのがわかる。
童話にでてくる眠り姫の様な雰囲気といえばイメージがわくだろうか。
氷に閉ざされた塔の最上階に、可憐な美人が静かに眠っているのだ。
やや状況は違えど、まさに眠り姫そのものだろう。
ちがいといえば肝心の眠り姫が美しい姫ではない、ということぐらいだし。
ああ、勘違いしてもらっては困る。美しいことに違いはない。
ただ―――男性なのだ。
彼は、眠り姫ならぬ眠り王子なのである。
最初のコメントを投稿しよう!