~from KASUGA~        

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「バスケ、楽しい?」 あたしはバスケ部に入っていた。 「うん。楽しい。」 弘樹はさらになにか いったけれど 風でよく聞き取れなかった。 「あ・・」 がたん。 マンホールを 自転車が通った。 あたしは思わず 弘樹のYシャツを 強くつかんでしまった。 トクトクトクトク・・ 鼓動がさらに早くなる。 顔を上げられない。 「今の人、知り合い?」 赤信号の交差点で 弘樹はあたしのほうを 振りかえった。 「え・・?なんのこと?」 「さっき、ビデオ屋のそばでかがんだじゃん、しりあいかなって。」 頭を巻き戻す。 ああそういえば さっきかがんだ時、 ブレザーの学生が 2人いたっけ・・。 「違う違う。さっきマンホールでがたんってなったじゃん。それで・・」 「そっか・・ごめん。」 「そんな・・」 信号機が青になった。 「ほら、早く乗って。まじで遅刻するよ。」 「うん。」
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