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早急だったにも関わらず、その準備の良さに驚いた河野だったものの、急いで下野に電話をかける。
数秒後。前を行くセダンの中で動きがあった。
『どしたの?』
「タイヤがやられたんだ。そっちに予備があるんだろ?」
『タイヤ?』
セダンの下野がこちらを向く。しばらく目を細めたあと、電話を耳に当てた。
『あー、もう少し走ったらボロボロになりそうだな』
「それよりそっちにタイヤはあるのかよ?」
『あー待て待て、この車にタイヤは?』
後半は野辺との会話だろう。言葉を区切ったあとの声は少し小さかった。
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