現実
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「どこだよ?」 友安は双眼鏡を目から離したりと、さまざまな追い方で野辺が言っていた“物体”を見つけることに没頭していた。 「月だよ。雨止んで雲も無くなったのに、何かが月に重なったんだ」 それしきの証言なら友安も意見する。 「ガラスにでも這った虫じゃないのか?」 そうとしか考えれない。野辺のいた部屋ならば、その理屈はまかり通ることになる。 しかし友安は心臓が止まるほどの物を見ることになった。
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