偉業

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窓の外から見える景色は閑静な街中。 そう言えたのは三日前までのことだ。 北東に見える大型電気店にはトラックが突っ込み、店もトラックも完全に大破している。 隣接する民家のベランダには首吊り死体がぶらさがっている。とっくの昔に空気感染した死体は首に縄を括った状態で暴れていた。 河野は外の風景を見限ると、友安に視線を移した。 友安は落ち着いた様子でタバコを口にくわえていた。何かを話そうとしたが、声は出ない。 こんな状況で世間話をして空気が読めてないと思われたくなかったからだ。
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