1、『。』

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彼とは、たまに会う。(といっても別に話をするわけではなく、互いに姿を確認する程度だが) なんとなく、そのままでいるのも不自然だったので、軽く会釈をしておいた。 老人はにたり、と笑った。 薄気味の悪い笑顔だったが、何となく見入ってしまった。 …しまった。 余計不思議な空気になってしまった。 にたにたし続ける老人につられて、こちらまで妙な笑顔になってしまった。 なんなんだ、彼は。 老人は、急に、ちょいちょいと手招きした。 お互い笑顔で見つめ合い、手招きをされるという奇妙な状態だった。 若干戸惑ったが、特に断る理由もない。 多少気も紛れるだろう、老人の誘いに乗ってみることにした。
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