1、『。』

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ベンチの前まで歩み寄り、 「こんにちは」 と私が言うと、 「こんにちは」 と老人が返してくれた。 初めて声を聞いたが、思っていたよりも声が高い。(勝手に老人と思っていたが、そうではないのかもしれないな。) にたにたの笑顔を向けられた。 近くで見ると一層気持ち悪かった。 「何をしているのかな?」 老人(なんと呼べばいいのかわからなかったが、私の中でこう呼ぶことにした)は、にたにた顔をほんの少し真顔に近づけて、言った。 私は、 「私は………何もしてないですよ」 と、少々自嘲的に笑いながら、言った。
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