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ベンチの前まで歩み寄り、
「こんにちは」
と私が言うと、
「こんにちは」
と老人が返してくれた。
初めて声を聞いたが、思っていたよりも声が高い。(勝手に老人と思っていたが、そうではないのかもしれないな。)
にたにたの笑顔を向けられた。
近くで見ると一層気持ち悪かった。
「何をしているのかな?」
老人(なんと呼べばいいのかわからなかったが、私の中でこう呼ぶことにした)は、にたにた顔をほんの少し真顔に近づけて、言った。
私は、
「私は………何もしてないですよ」
と、少々自嘲的に笑いながら、言った。
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