夢の徴

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不意に人の気配を感じた。 まだ滲む涙を拭い、必死に気配の方向へ目を凝らす。 そこには……大柄な人が何かを構えて佇んでいた。顔はよく見えない。 その人の前には二人の人が――男の人と女の人が倒れている。ピクリとも動かない。 その二人を見ると、わたしの中にどこか懐かしいという感情がわいてくる。 何故か懐かしい感じがするその人達のことをわたしは知らない。 いや、知らないのではなくて思い出せないのかもしれないけど……。 わたしはその人達に駆け寄る。上手く力が入らず、幾度となく転びそうになった。
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