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「ふわぁ~あ」
口を大きく開けて大きな欠伸をする。
我ながら大した欠伸だ。
狭い車内では、すぐ隣の運転席に座る人がそれに気付かないはずがない。
「あら、凛? 起きたの?」
横目でチラリとこちらを見て言った。
そしてすぐに前に向き直って運転をする。
「うん。楓お姉ちゃん、おはよう」
本当は『こんにちは』の時間だけれど、眠りから覚めた時はついおはようと言ってしまう。
「ふふ、おはよう。でもまだ旭川まで随分と時間がかかるからまだ寝ててもいいわよ」
ずっと運転しているお姉ちゃんには悪いとは思うけど、わたしはまだ寝足りなかった。
「んー、じゃあまた寝るかな」
そう言って目を閉じようとしたところで車内が静かなことに今更ながら気付く。
わたしが寝る前についていたラジオが消されていたのだ。
多分、わたしが寝たことに気付いたお姉ちゃんがうるさくないように消してくれたのだろう。
そういった小さな心遣いはさすがお姉ちゃんと言ったところ。
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