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とりあえず美咲の読みたい本も見つかり、レジを通したら三人は本屋をあとにした。
ま、もともと長居する気も無かったから別にいいけどね。
「ねぇ俊一、スプーン曲がらないよ?」
今もなお銀食器のスプーンという強敵相手に、悪戦苦闘している由美が助けを求めきた。
それ以前に本気でグニャリと曲がるとでも思ってるのか?
もしそうなら俺は冷静に脳外科か精神科を勧めるけど……。
「由美、諦めたらそこで試合終了だぞ」
「やれやれ、かわいい女の子を励ます言葉がそれですか……。ふぅ、困ったものです」
おいっ!いい加減その微笑スマイル野郎から離れろ!
「さてと、二人ともボクの用事に付き合ってくれてありがとね」
頃合いを見計らっていたのか、本を抱えた美咲が話に介入してきた。
読みたい本を見つけたからか、表情からして嬉しそうだ。
「ん?ああ、構わないさ。こっちも暇だったしな」
ポケットに入れてる筈のブラックカードを無くしてないか、さり気なく確かめながら俊一は返事をした。
国家予算並に入ってるらしい金を、ポロッと落としたりでもしたら一大事である。
よし大丈夫、無くしてないな……。
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