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ピシッと燕尾服を着こなしているニコニコ顔の執事さんは、俊一と由美と美咲の死角から急に現れた。
平気な顔で空間移動?をしてるんだから……神那さんを本気にさせたら凄まじいだろうな。うん。
「カンナ、美咲の持ってる本を家まで届けてあげて」
「はい、かしこまりました」
申し訳なさそうに神那に本を渡す美咲。
本を丁寧に受け取ると、神那は一礼して口を開く。
「ではお預かりしますね。本は佐倉様の家の玄関にでも置いておきます」
「あ…はい、ありがとうございます」
神那さん……お疲れ様です。
街中で、沢山人がいるのにもかかわらず、煙玉で姿を消す神那を見送り、改めて三人で行き先を決めることになりましたよっと。
「うーん、そろそろ昼時だね」
「ん?お嬢様は空腹か?」
「由美、食べてばかりだと太っちゃうよ?」
由美は携帯で時間を見ただけなのに、それだけでこの言われようである。
「二人ともひどいや!」
半泣きの由美が頬を膨らませて文句を返してきたのは言うまでもない。
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