39086人が本棚に入れています
本棚に追加
夕焼けで綺麗な茜色の空の下。
誰もいない道を、二人っきりで腕を組んで歩く。
まっ、確かにシチュエーションとしてはデートに見えなくないな。
散歩感覚でのんびり歩くのは嫌いじゃない。
腕に由美がくっついて歩きにくいのも大目に見よう。
ところで、何で由美は歩きだしてから一言も喋らないんだ?
「なぁ、どうして歩こうなんて言いだしたんだ?」
夕日に照らされ、細長く映し出された自分の影を見ながらそう口に出す。
「うん。ちょっと聞きたいことがあってね……」
「聞きたいことって…俺にか?」
こくりと小さく頷くことで由美は答えた。
俺に聞きたいこと? 何だ?
小柄な由美の歩幅に合わせ、のんびりと歩きながら一人で思考を働かせてみる。
「俊一は……」
そんな俊一の思考を遮るかのように、由美がゆっくりと話しだした。
最初のコメントを投稿しよう!