3.親友と憩いと本心

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それは突然の出来事だった。 ふわりと風が吹いたかと思えば、隣にいたはずの由美が抱きついてきたのである。 女の子特有の柔らかい体が密着し、香水とは違ういい匂いが由美から伝わる。 「お、おい!由美!」 「少し……このままで」 華奢な体から伸びるほっそりした腕が、腰に強く回されていて動けない。 力ずくで振りほどくのも容易だったが、場の雰囲気にそぐわない。 とりあえず、由美が離れるか何か言うかをひたすら待つことに。 結局由美が話し掛けてきたのは、時間がたっぷり一分経ってからだった。 「……俊一」 「何?」 俊一のワイシャツから顔を離し、身長差があるから由美は上目遣いで話す。 「前の両親に会いたい?」 「…あぁ」 考えるまでもなかった。 昨日まで会っていたが、いざこうなると会いたいと思うのだ。 「一ノ瀬家は嫌?」 「んなこと無い」 一ノ瀬家には感謝してるし、嫌悪感を抱いても無い。 むしろ好感を持てるくらいだ。 「じゃあ……」
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