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「今、いろんなことが不安で仕方がないでしょ?」
優しく微笑みながら、確信を得たように質問してくる由美。
女の勘ってヤツか?
鋭いな。
「…………あぁ」
冷静さを装っているけど、ホントは不安でいっぱいなんだよね。
でもやっぱりカッコ悪いとこなんか見せたくないからね。
どうしても強がっちゃうんだよ。
「大丈夫だよ」
「……何が?」
そっと俊一から離れ、夕日の眩しさに目を細めながら由美は言う。
吹き抜ける風が由美の長い髪を揺らして通り過ぎて行った。
「私が俊一に不安を感じさせないようにする………完全にとは言えないけど、できるだけ頑張るから」
なるほど、由美らしい考えだ。
「どうしてそこまでしてくれるんだ?」
由美の顔が赤い。
夕日に照らされてるからか、それとも照れてるからか……。
「そんなの、俊一が好きだからに決まってるよ。好きな人には笑っていてほしいからね」
微笑む由美の可愛さにドキッとしたが、なんとか表情に出すのは抑えられた。
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