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「一ノ瀬由美の名にかけて、私は絶対にあなたとのこの約束を守るわ」
いつになく凛とした真剣な眼差しで、由美はそう宣言した。
由美の意志がどのくらいかは分からないが、そう言ってくれただけでも十分すぎるくらいに嬉しい。
多分…これ以上望んだら罰が当たるな。
「由美………」
ふっと表情が緩んで、由美の名前を呼んだと同時に、目の前に細い指が突き出された。
伸ばした小指を俺に向けて由美は言う。
「指切りするよ」
向けられてる小指に、自分の小指を絡ませる。
「約束するね」
「ははっ、じゃあ俺も何か約束しなきゃな」
一方的に由美にだけ約束させるのは気が済まなかったから、俊一も勝手に由美に約束した。
「えへへ、俊一は私に何を約束してくれるのかな?」
「おっと、残念だがそれは教えられないな」
ま、少なくとも今はまだだな。
ニッと笑みを浮かべて由美に言ってやる。
「俊一ずるいや。教えてくれないと私が勝手に想像して決めちゃうよ?」
むーっと頬を膨らませて由美は怒るが、その姿はどこか楽しそうに見えなくもない。
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