3.親友と憩いと本心

26/29
前へ
/522ページ
次へ
「一ノ瀬由美の名にかけて、私は絶対にあなたとのこの約束を守るわ」 いつになく凛とした真剣な眼差しで、由美はそう宣言した。 由美の意志がどのくらいかは分からないが、そう言ってくれただけでも十分すぎるくらいに嬉しい。 多分…これ以上望んだら罰が当たるな。 「由美………」 ふっと表情が緩んで、由美の名前を呼んだと同時に、目の前に細い指が突き出された。 伸ばした小指を俺に向けて由美は言う。 「指切りするよ」 向けられてる小指に、自分の小指を絡ませる。 「約束するね」 「ははっ、じゃあ俺も何か約束しなきゃな」 一方的に由美にだけ約束させるのは気が済まなかったから、俊一も勝手に由美に約束した。 「えへへ、俊一は私に何を約束してくれるのかな?」 「おっと、残念だがそれは教えられないな」 ま、少なくとも今はまだだな。 ニッと笑みを浮かべて由美に言ってやる。 「俊一ずるいや。教えてくれないと私が勝手に想像して決めちゃうよ?」 むーっと頬を膨らませて由美は怒るが、その姿はどこか楽しそうに見えなくもない。
/522ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39086人が本棚に入れています
本棚に追加