1.出会いと別れと一流財閥

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「ん?私は41歳だがどうかしたか?」 「いや、父さんじゃない……」 「母さんの年齢が知りたいのね、残念だけど内緒よ」 あぁ、これじゃあ話が進まない…… いや違うな、進んではいるが方向がずれてるのか…… 「えっと、月奈さんと由美さんのことなんだけど……」 俊一の言葉を聞いた夫妻は、「ああ、そっちか」と言うような納得の仕方で答えてくれた。 「月奈は19歳で、由美は17歳だったわよね」 「そうなると俊一は由美と同い年だな」 楽しそうに会話する父さんと母さん。 こういう光景は、見ていてとても微笑ましく思う。 やがてリムジンは屋敷の玄関前に止まり、ドアが何もしてないのに自動的に開いた。 たったそれだけで驚いた俺だったが、この程度では驚きは終わらない。 「…………すげぇ」 目の前に建っている屋敷を見た感想はそれしか出てこなかった。 そんな感想どころか、 「俺の靴で、家が汚れたらどうしよう……」 などと真剣に考えてしまう始末である。 さすが貧乏、さすが小心者。 「どうした俊一?」 車から降りたところで立ち止まっていた俺に、父さんが呼びかける。 「な、何でもない!」 まさか「靴の汚れを気にしていたのさっ☆キラッ」、なんて言える訳もなかったから慌てて誤魔化す。 「ほら、入りましょ」 綾香にも促され、玄関前に立つ。 期待と緊張と不安でいっぱいだったが、不思議と体は動いて扉を開けてくれた。 「ただいま……?」 お邪魔しますと言うべきか悩んだが、新たな自分の住まいという意味を込めて俺はそう言った。
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