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「あら?じゃあ夕御飯は期待できるわねパパ?」
「ああ俊一、しっかりやってこいよ」
笑顔で両親に見送られ、俺は頷いてアパートから出た。
ここまでで勘のイイ人なら察してくれただろう。
そう、倉凪俊一の両親は無職なのだ。
ついさっき父さんが言っていた、
『しっかりやってこいよ』
の一言も、励ましと言うより……
『しっかりやって賄いを貰ってこいよ』
という意味である。
そう考え、ガックリと肩を落としながら俺は春風の吹く道を歩く。
ちょっと目立つ金髪を風に揺らし、すぐさま別の考え事をしながらバイト先へ向かう。
「今月はファミレスで約40時間、新聞配達が13回、深夜の道路工事が一週間分、カラオケ店で25………」
俺が超真剣に考えていることは今月の給料である。
はたから見れば金の亡者に見えなくもないが、当の本人は生きることで必死だから気にする暇もない。
「全部でだいたい30万くらいかな?よくやったな俺!」
そんなこんなで金の計算に満足しながら歩いていたら、バイト先のファミレスに着いた。
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