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「まぁ、いざとなったら作り直してもらうよ」
「……………」
頼むから、それだけは勘弁して下さい由美お嬢様。
月姉は本当にやりかねないから……
「見つけたら処分するからな」
俺も無理に意地を張って言い返しては見るものの、すぐさま処分出来るほどの技量を持ち合わせてなどいない。
「……まぁ、俊一が相当嫌がるようならほどほどにしといてあげるけどね」
ほどほどにかよ。
電源を落として戻ってきた由美は、さっそく俺の腕を引っ張って歩きだした。
「ちょ…おい由美、急に引っ張るな!」
「ごめんごめん、ほら、そろそろ朝食の時間だから行こうよ」
急に引っ張られて危うく転びそうになる俺だが、ちょっとは自信のあるバランス感覚で態勢を立て直す。
…………はずだったが、失敗して見事に顔面から転んだ。
「俊一!大丈夫!?」
慌てて心配してしゃがみこむ由美。
当然、わざと意地悪でやったわけではないだろう。
「……………いてぇ…」
コンクリートで整備された地面にうつぶせで倒れたまま、俺は小さくそう呟いた。
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