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暖かい陽気と快晴の青空が待っている外へ、俊一と由美は出てきた。
大量に買い込んだ服は、当然だが全て俊一が持っている。
だってカート使えるの、店の中だけなんだもん!!
荷物持ちは昔から男の仕事と、暗黙の了解で決められているのだ。
「俊一、重くない?」
「心配しなくても……大丈…夫…」
日々のバイトが筋トレ代わりになっていたが、これはちょっと重すぎる。
大量にニーソを買い込んだらしく、紙袋の一つは黒のニーソックスで埋め尽くされている。
これから夏なのにニーソって……
暑くないのか?
「やっぱワタリ呼んで車に置いとこうよ」
ポケットから由美が携帯を取り出したところで、俊一の聞き覚えの無い声に名前を呼ばれた。
「おーい由美~」
振り返ってみれば、人ごみの中から手を振っている女の子が目にとまった。
黒髪のショートヘアーと、人懐っこい印象を与える黒い瞳。
「あれ?美咲?」
こっちに向かって人ごみを掻き分けてくる女の子に、由美は確かにそう答えた。
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