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バランスが少し崩れて一瞬冷や汗をかく奏だったがなんとか持ちこたえる。
「なかなか見れない景色だから、嬉しかったんだよな。」
あはは、と笑いながら亮は奏に肩車されているショウタの髪をくしゃくしゃした。
ちなみに、この時亮は当然背が届かないので近場の縁石に亮は乗っていた。
「亮さん…。まぁいいや。それよりショウタ、兄さん居る?」
「う~…」
前をキョロキョロ見渡すショウタ。
だが赤と黄色のシャツは見当たらない。
亮もその横で探してはみるが、やはりいないようだ。
「…いない…」
「そうか…」
悲しく呟かれた言葉に奏は可哀相に、とそれでも励ますようにショウタの膝をパシパシと叩く。
「どこ行っちまったんだろうな…」
亮の言葉にショウタは不安になった。
このまま自分は兄に会えないんじゃないだろうか…家に帰れないんじゃないだろうか。
迷子特有の思考がショウタにも襲いかかり、急に悲しくなった。
泣きたくなった。
「っ…ぅ…っ!」
「「!!」」
その咽びに亮と奏はヤバいと感じる。
自分達には流石に泣いた子供をあやす方法がわからないのだ。
泣かせるまいと亮が必死に取り繕う。
「ショ、ショウタ!泣くな!すぐ見つかるって、な!」
「亮さんの言う通りだ。泣いたら兄さん見つけられなくなるぞ?」
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