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第二章
-デートの始まり-
と、いう訳で日曜日。
こういう時に限って、お互い部活が休みだった。いや、それをわかったから奏はデートをしようと言ったわけだ。
待ち合わせ場所へ向かう電車の中、亮は柄にもなく、大変緊張している。
-デート…、デート、かぁ…-
今日どこへ行くのかも、亮は全く知らなかった。
この前の奏の台詞が頭の中で再生される。
『亮さんは特に何も考えなくて良いよ。俺がエスコートしたいから。』
しかも丁寧に映像付きで。奏の自信に満ちた顔が亮へ不敵に笑いかける。
瞬間体が熱くなって、亮は頭を左右に振った。
-待て待て、なんだ俺、女々しいぞ!いくらアイツと付き合ってたって、俺は男!-
その意識だけはしっかりしている亮。
決意を新たに、流れる景色に視線を移した。
駅前に、奏は既に居た。
まだ約束の時間まで10分ある。
「おーい奏!」
「あ、亮さん。」
柔らかい笑みが亮を迎えた。
私服を見るのはお互い初めてだった。
どちらも特に変わった出で立ちではないが、奏はやはりなんとなく、オシャレ。
オレンジ色のインナーと白色のジャケット、下は濃い茶色のズボンにブーツ。
秋らしい清潔感ある服装。
普段はしていないアクセサリーも見え隠れする。
対して亮は、赤と黄色で印象的なシャツ。それは自分が贔屓にしているスペインのサッカーチームシャツだった。
下は黒のズボンにスニーカー。
彼らしい格好ではあった。
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