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第四章
-デートのハプニング-
その後もデートは順調だった。
奏はかれこれ9ヶ月ほど亮と共に過ごしている。
好きなものや嫌いなものは把握していたので、当たり前と言ったら当たり前だ。
だが、人生時として順調だけでは終わらない。
「にいちゃ?」
時刻は午後5時24分。
そろそろ帰ろうと、良い雰囲気で別れの言葉を交わしていた時だった…。
亮はシャツの後ろを引っ張られて振り向く、そこには4歳くらいだろうか…大きめの野球帽子を被った子供が居た。
二人は驚く。
迷子だろうか…?
「!」
男の子は亮の顔を見ると悲しそうな表情に。
どうやら人違いに気付いたらしい。
おずおずと下がる男の子に亮はすぐさま目線を合わせ、聞いた。
「どーした?兄ちゃんとはぐれちまったのか?」
その問い掛けは優しいもので、男の子もコクリと首を縦に振る。
「そうかー。お前、名前は?」
「しょーた…。」
「ショウタ、だな。よし!ショウタ、一緒に兄ちゃん探すか。」
「亮さん」
面倒見が良い亮らしい行動。
なんの躊躇もなく、手を差し伸べる。
その行為に奏はまた亮を好きになった。
「つなわけだ。じゃあな、奏。」
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