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ショウタの手を持って、奏へ振り返る。
これに付き合わせては悪いと思ったのだろう。だが、奏は
「何言ってるんですか。今日はデートでしょう?亮さんを家に送り届けるまでがデートだから、俺も行きますよ。」
嘘。家まで送ったら流石に迷惑だろうから、本当はここで別れるつもりだった。
けれど、こうなったのだったら
一緒に行かないわけがない。
「奏…。そっか、ありがとな。」
好意がわかり、亮もそれを受け入れた。
「うしっ、じゃあまず兄ちゃんの名前は?」
「りょー」
「リョウ?」
奏の問い掛けにもショウタは頷く。
名前だけなら正解だった。
それからよく聞くとショウタの兄、リョウが着ている服も赤と黄色のシャツらしい。しかもサッカーの。
今日はショウタと一緒にスポーツ用品を買いに来ていたとの事。
家に帰るためには電車に乗らなきゃいけないらしい事。
ショウタが、駅前にあるモニターでサッカーの試合に釘付けになっていたらはぐれてしまった事。
はぐれてから30分程経っている事。
以上の事がわかった。
「まさか本当に亮さんの弟…」
「んなわけあるか!」
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