高速道路

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車が走りだしてしばらくすると、携帯電話の着信音が鳴り響いた。珍しく田舎にいるばあちゃんからだった。 『もしもし~、ばあちゃん?どうしたの?』 すると、ばあちゃんは即座に 『けい太かい?あんた今どこにいるんだい?』 『俺は今、高速道路を走ってるよ』 『どこに向かってるんだい?』 『ん?!蔵王に向かってるんだぁ。久々に行ってみようと思って』 僕がそう言うと、ばあちゃんはしばらく黙っていたがやっと口をあけて 『そうかい…。それならおまえ、くれぐれも雰囲気に惑わされるんじゃないよ』 そう言い残して電話を切ってしまった。普段そんな小言をいう人ではないし、そもそも雰囲気に惑わされるなって事の意味が理解出来なくて、しばらく車を走らせていたが、僕は心なかで(ばあちゃんも年だし、寂しがり屋になってきたのかなぁ?)なんて少し呑気な事を思っていた。
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