宿 Woman

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高速道路に載って、東北自動車道の埼玉県の浦和から約5時間かけて山形自動車道の山形I.Cを降りた。思っていた程には道も混まずに、比較的順調に走ってこれたと思う。 夏の山形は、東北地方なだけに涼しいイメージがあるが、実は全体が盆地になっていて湿気が溜まり、気温も高いのでとにかく蒸し暑い。京都や宮崎の盆地にも引けを取らない位だ。 もともと無計画な旅だった為、宿泊先も取っていなかった僕は、とりあえず目についた温泉宿、旅館、ホテルを片っ端から当たってみたが、なぜかどこも満室だという…。週末でもシーズンでもないのに、全ての宿が埋まっているのだ。僕はだんだん腹が立ってきた。(もしかしたら、俺は騙されてるか、遊ばれているんじゃないか?)そんな気持ちのまま、もう車中泊の覚悟が決まりかけていた時、一つの看板を見つけた。 「宿 Woman」 いかにも怪しい看板だった。薄いピンクの文字が余計に疑わしい。しかし、車の中で一晩を過ごすにはこの蒸し暑さは耐え難い。ダメ元で僕は入り口のベルを鳴らした…。
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