原爆か、殺人光線兵器か

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〈殺人光線兵器〉 さて、もう一方の「殺人光線光線」については、この会を主宰した海軍技術中佐・伊藤庸二から、 「極超短波(マイクロ波)という未知の電磁波の特性を利用した新兵器の開発は有望である。なぜなら、極超短波は周波数と指向性が極めて高いために、大出力で敵に照射すれば、誘電加熱作用(ページ下へ)によって敵を殺傷することが可能である。また、比較的低い出力でも爆撃機などの計器類に電磁波障害を誘発し、敵の作戦行動を混乱あるいは停止させることができる」 という意見が出され、その他の物理学者からも 「むしろ原爆より実現性が高いのではないか」 という意見が出されました。 物理学者のお墨付きを得た伊藤中佐の「殺人光線構想」は、「殺人光線」の極秘プロジェクトとして発足したのです。 そして、この研究のコードネームを「Z研究」、開発する兵器を「Z兵器」と名付けたのです。 *誘電加熱作用(現象) 電波がものに当たると、水の分子が振動し、摩擦熱によってそれが加熱されること。電子レンジはこの作用が用いられています。 殺人光線兵器でマイクロ波をあびさせる・・・簡単に言えば、電子レンジに入れられるのと同じですね。
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