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「人多いな」
「そうね…」
電車の中は予想以上に混雑していた
多分俺達と同じで出かけようとしている人達だろう
「キツくないか?」
「大丈夫よ…っ!?」
奈々の顔が歪む
「…まさかアレか」
小さく頷いた
…やっぱりか
こう混雑してる中そういう事してくるヤツはいるもんだな
「奈々、ちょっと悪い」
「え?」
俺は奈々を自分の方へ引き寄せ体を入れ替える
少し周りの人に当たって見られたが察してくれたようだ
ついでに相手の手を掴もうとしたけどすぐ引っ込められた
…ムカついたけど奈々に声をかける事が先だな
「これなら大丈夫だろ?」
「…ありが…とう」
少し声が震えていた
奈々の背中に手を回して俺の胸元に寄せる
「怖かっただろ、もう大丈夫だ」
「べ…つに…怖く…なんか…」
「強がるなよ、今は」
「…バカ…」
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