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“リエア・カンミーヤ”
少女はそう黒板に書いた。
そして、
「リエア・カンミーヤです。よろしくお願いします。」
と丁寧に頭を下げた。
「じゃあリエア、あそこの席に座って。」
先生がクロの斜め後ろの席を指差した。
リエアが軽く頷き、指定された席に行き、座った。
すると周りの女子がリエアに質問攻め。
「はいはい、ご質問はまたのお楽しみにしなさい、はい、じゃあ課題の点検をします。」
それからクロが学校を出たのが十時半。
お金持ち学校だけあって校内にはお迎え用の車の駐車場までがあり、ここも体育錬、文化錬は別れている。
クロは迎えのリムジンの車内では、執事と雑談するのが好きであった。
執事の名前はタキ、もう十分なおじいさんである。
「ねぇ~タキ~朝タキが起こしてよ~あいつめっちゃ乱暴なんだぜ!マジ朝から疲れるっつーの!」
「この老体に早起きは無理ですよ。我慢して下さいクロ様、私からもよく言っときますから。」
「分かったよ。まぁタキが言うならしゃあない。」
そうクロが言って、座席にもたれた。
「あぁ、クロ様。そういえばさっきお客様が来てましたよ。イコア様と言っていましたが…」
「おぉ!イコアが来たのか!じゃあタキ、ここで降ろしてくれ。」
「分かりました。お友達ですか?」
タキが大通りでリムジンを止め、振り返りクロに聞いた。
「まぁね、すげー絵が上手いんだ!今度見せてやるよ。じゃね~」
クロがドアを開けて外に出た。
「あまりお帰りは遅くなりませんように!」
タキがリムジンの窓を開けて、クロに叫んだ。
クロは走りながら手を振った。
「イコア……はて?どこかで聞いた事がありますな。一体どこで…」
タキは悩みながらリムジンを出発させた。
今日は比較的大通りには人が多いようだ。
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