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それから十数分後、クロは家に着いた。
そして携帯で、
「タキ~着いたよ。門開けて~」
大きく頑丈に立ちはだかる門の前でクロはタキに連絡する。
電話の向こうでタキが、
「おかえりなさいませ、クロ様お父様がお待ちですよ。只今お開け致します。」
そして、大きい音をたて、門が開く。
クロが門をくぐる。
光り輝くシャンデリアに二階へ続くとても立派な階段、ここが玄関?
そんな玄関にタキがクロを出迎え、
「書斎でお父様がお待ちです。私に着いて来て下さい。」
タキに連れられ迷路のような家の一室、書斎と書いてある部屋の前でタキは止まり、ドアを二回ノックして、
「リヤノ様、クロ様をお連れしました。」
そう言った。
すると中から
「クロ、入りなさい。」
渋い声がクロを呼んだ。
クロがドアを開け、中に入った。
「何の用だい?父さん。」
ドアの向こうには、椅子に座った中年の男性がいた。
リヤノはクロにも椅子を勧めた。
クロは椅子に座り、
「で?何よ?」
もう一度リヤノに聞いた。
リヤノは深刻そうな面持ちで短く息を吐き出し、
「クロ、明日からお前を外出禁止にする。」
と言った。
クロは少し呆れた表情で、
「は?何でだよ。意味分かんないんだけど…」
そう言って、部屋を出ようと椅子を立ち上がると、
「イコア・ソンミーヤに近付くな。」
リヤノが言った。
クロの足が止まる。
何故父はイコアの事を知っている?
何故イコアに近付くなと言われた?
「何でだ?」
クロはリヤノに少し低いトーンで聞いた。
「イコア・ソンミーヤは黒猫画家というのは知っているだろう?昔黒猫は悪魔の使者というレッテルを貼られていたのは知っているな?」
「それが何だ?昔の話だろう?」
「まぁ聞け、今の世でも黒猫を良く思わない人達が少なからずいる。もしもそんな人達がお前が黒猫を描いている画家と知り合いなんて知ったら、エドナード社の飛行機は悪魔にとりつかれているなんて言われかねない。この生活を守る為だ!イコア・ソンミーヤには二度と近付かないでくれ!」
「勝手なんだよ!クソ親父!」
そう言って、クロは部屋を出て行った。
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