展覧会にて…

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展覧会にて…

次の日の午後一時、あの少年は約束の二時間も前にミノヤード美術館の三階に来ていた。 (早く来すぎたな~あのおっさん、俺に今日の展覧会見せたいのか?黒猫画家イコア・ソンミーヤ…聞いた事ないな…) どうやら今日はイコア・ソンミーヤという画家の展覧会があるようだ、看板には黒猫画家 イコア・ソンミーヤの飼い猫達 と書いてあり展覧会入り口はまだ開いていなかった。 少年がしばらくボーっとしていると階段の横に設けられているエレベーターが三階から一階に降下して、二階を通り過ぎ、三階へ来た。 チンッという音がした後、ゆっくりとドアが開いた。 (おっさんかな…) 少年の期待とは裏腹にエレベーターから出て来たのは… 長い黒髪を揺らしながらあるく少年と同じ位の年の日系人の少女だった。かなりかわいい。 「めっさかわいい…」 少年は少女が見えなくなるまで目で追っていった。 二時間後、展覧会が開かれると同時にあの男がエレベーターから出て来た。 「さて、あのクソガキはいるかな………おっ!いるね~」 男が少年を見つけ、駆け足で少年のもとへ行く。 「よっ!来てたかクソガキ君!」 男が少年の肩に手を掛けた が、反応がない。 「ん?どうしたクソガキ?」 男が少年の顔を覗き込んだ…少年はただただ斜め上を向いていた。口が微かに笑っていた。 男が不気味に思い、少年の体を前後に大きく振った。 数十秒振った後、少年が急に我に帰った。 「あっ!おっさん!遅せーよ……って何で息切れてるの?」 男は少年の肩を借りて床に膝を付き肩で息をしていた。 「おっ…お前がっ!……もういいや…早く行くぞ!」 男が立ち上がり少年に言う。 「何処へ?」 少年はすっかり展覧会の事を忘れているようだ。 「イコア・ソンミーヤの黒猫展覧会だよ。」 男が言った。
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