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「イルがここに来た時に、変なおじちゃんがイルに魔法をかけてきたの」
変なおじちゃん?ガレージ伯爵の事か?上級貴族ともなればこの程度の魔法ぐらいは使えるだろうが……。
「周りの人達に見覚えはあるか?」
イルは周りの女性達を見回し首を横に振った。
「イルはここに来てから何日だ?」
イルは手で数を数えて七と答えた。一週間か、イルの後にこの人達を集めたんだろうな。イルと同じく魔法がかかってるから逃げる意思が働かない。だから、扉の前にも見張りがいなかったんだな。
「ウィル、この後どうするんだ?」
「え?オレはイルに会えたからもういいよ」
「本当にいいのか?噂だと思ってちゃんと言ってなかったが、ガレージ伯爵は人身売買をしてるんだぞ?このままイルをこの屋敷に置いていけば、どうなるか分かるだろう?」
「何処にそんな証拠があるんだよ」
「養子に催眠魔法をかける必要がどこにある?」
ウィルはオレの言葉を理解したようだ。
「でも、その後どうしたらいいんだよ。また、捕まるかもしれないんだぞ」
「後の事はオレに任しとけ」
ウィルはオレの顔をじっと見ていたが、決心した様に振り返りイルと向き合った。
さてと、あまり時間が無いな。
「契約に従い力を貸せ!ウンディーネ!」
大気中の水が弾け幼い少女が現われた。
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