初めての客

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「あんた、何で盗みなんてしたんだい?」 「……」 「黙っていたって分からないだろ?」 フェリシアさんの質問に少年はダンマリだ 「名前くらい教えてもらえないかい?」 「……ねぇよ」 「え?」 「オレに名前なんてねぇんだ!」 名前がない……ねぇ 「家族は?」 「戦争で死んじまった……」 フェリシアさんはため息をついてオレに聞いた 「どうすればいいかね?セイル」 「フェリシアさんの好きにすればいいんじゃねぇの?煮るなり焼くなりさ」 「なら、セイル。あんたにこの子任せるわ」 「は?」 「よろしく」 そう言ってフェリシアさんは仕事に戻って行った 「ちょっ、待って」 ハァ、あのババア……しょうがねぇな 「ていうことでオレが預かることになったんだけど……お前どこに住んでんの?」 「オレに家なんてねぇ」 なるほどね…… 「じゃあ、とりあえずオレについて来い」 「……どこに連れて行くつもりだ?」 「いいところさ」 オレは店を出て都市の中でも人通りの多い場所を歩いていく オレは後ろをちらりと見た よしよし、ちゃんとついて来てるな オレ達はしばらく歩き2階建ての建物の前で止まった 「着いたぞ」 オレはそう言うとさっさと店の中に入った 「セイル様!!遅いですぞ!」 「悪いな、ちょっとゴタゴタに巻き込まれたんだ」 この紳士的な清潔感を漂わせているのはオレと一緒に店で働いているネールだ。白髪のポニーテールにスラッと高い身長だが50歳なんだぜ、主に接客をしてもらってる 「おや!後ろの方は?」 「ああ、ちょっとな。カウンターに座らしてくれ」 「かしこまりました」 ネールは少年をカウンターまで案内し椅子に座らせた 「何か食うか?」 「いらねえ」 「じゃあ、とりあえず水でも飲んで落ち着けよ」 「……」 「で、お前このあとあてはあるのか?」 「……」 「じゃあ、とりあえず施設に預けるか」 「それしかありませんな」 「施設はダメだ!!!」
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