貴族の勝手

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「それ、魔法の本ですよね」 オレは急に声をかけられてびっくりし、振り向くとアルフィナが何やら興味ありそうな顔で立っていた。 「ああ、そうだ。エルフなら別に珍しくも無いだろ?」 「ええ、エルフ族にとって魔法は象徴であり文化ですから。魔法を使えないエルフはエルフ族として認められません。私も魔法の本を絵本がわりに読んでいたんですよ」 「アルビナもそうだったな、あいつはいつも本ばかり読んでいた。この本はアルビナにもらったんだ」 「母からですか、それならエルフ式魔術ですね。人間のセイルさんが読んでもあまり意味が無いのでは?」 「魔法と術者には相性がある。アルビナといえども、ファーストレベルの魔法に三年かかったし、オレみたいな人間がエルフでも難しい呪文を一週間で扱う事もできる。つまりその魔法をどれだけ理解出来るかにかかってくる、それを相性っていうんだ。知ってるだろ?」 「いえ、セイルさんそれ本当ですか?」 「あれ?お前もか、アルビナも最初びっくりしてたぞ。相性っていうのはアルビナがつけたんだけどな」
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