貴族の勝手

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兵士は二人で武装している。鎧に刻んである紋章からすると、政府の兵士だ。オレは兵士達が中に入りやすいように脇にどいたが、兵士は入らずに紙を一枚取り出した。 「急にすみません。実はご報告がありまして」 「何だ?」 ネールとアルフィナもオレの側に来て話を聞く。 「先ほど貴族の飼っていたペットが逃げまして。捜索中なんですよ」 「ペット?」 「はい、貴族が飼っていたボブコブリンが数匹逃げまして、今住民の皆様に警告と情報を兼ねて回っているところです」 ボブゴブリンだと?夜行性の肉食モンスターじゃないか。人でも食うような危険な奴が町に数匹だと!馬鹿貴族め、しっかりと管理しやがれ。 「ボブゴブリンはこの住居区に?」 「いえ、詳しいことは分かりません。今、魔術師隊が探索魔法を使い全力で捜索してます。とにかく、今夜は絶対に外に出ないでください」 「ちょっと待ってくれ、まだうちの従業員が三人戻ってないんだ。探しに行かないと」 「ダメです。その方々は我々で何とか致しますので、じっとしていてください」
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