鉱脈を駆ける者

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『商業の街-ヤッカ-』を出発して早二日。 テンマとアカネは腕環の光が指し示していたと思われる『鉱山の街-イストス-』に到着した。 「ここが・・・・」 「イストスね」 テンマの呟きに続いてアカネは入口脇にある立て札を見た。 テンマも立て札の文面を見た。 『世界一の採鉱量を誇る街、イストスへようこそ! 君も俺たちと一緒に山を掘ろう!』 「鉱山集落ってやつか・・・」 「そういえば、ここおじいちゃんが昔よく来てたって言ってたな」 「あ、そっか、リュウのジッちゃんは鍛冶屋だもんな」 「うん、材料を集めるためにここによく来てたみたい」 「へえ~」 テンマは街並みを見た。 入口を除いて街全体の周囲は岩壁がそびえ立っていた。 入口から街を背後にそびえ立つ山脈。 その山脈へと続くと思われるトンネルへと一直線に出来た広い道。 道は何の加工もない剥き出しの地面だが非常に硬く、おそらく鉱夫達が長い年月この道を歩いたことで慣らされたのだろう。 道の脇には丸太に何の装飾もない飾りっ気のないログハウスが並べられていた。 ログハウス一つ一つを区別する要素は、扉の上に貼られたプレート位だった。 簡素な街灯はあるが、もし夜になったら、建物を間違えるかもしれないとテンマは思った。 ただ一つ、テンマには違和感に思えてならないものがあった。 それは・・・ 「あまり人がいないな・・・」 テンマは違和感を呟いた。 「ほんとだ。変だね、ここは閉山するにはまだ500年はかかるって言われる程の鉱山街なのに・・・」 「詳しいなアカネ」 「立て札の裏に書いてあったよ」 テンマの言葉にアカネは立て札の裏を指差した。 「なるほど」 テンマは左の掌に右の握り拳でぽんと叩いて納得の意を示した。
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