第一章 夢

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「上官への無礼、お許し下さい。」 シュラが急に改まり、エルに頭を下げて謝罪した。 「…未熟者が…」 エルはシュラを一瞥して、城の方へと歩いて行った。 シュラはエルの方へと振り返る事はせず、先程エルの立っていた十字架の場所の前に立った。 「…兄さん…」 シュラは一言だけ呟くと、後はただ黙って十字架の前に佇んでいた。 「…シュラ?」 突然シュラの背後から女性の声が聞こえ、シュラはゆっくりと振り返った。 そこには茶髪で茶色の瞳、ショートカットのボーイッシュな女性と、黒髪で身長が高く、がっちりとした厳つい男性が花を持って立っていた。 二人とも、戦闘用の鎧を着ていた。 「…シエル…と、ロイか…」 「おぅ、今ようやく一仕事終えて帰って来たんだよ。」 ロイは疲れた顔をして、ため息をついた。 「…そうか…」 シュラは踵を返して、ロイとシエルの横を歩いて通りすぎようとした。 ガシッ!! しかし、シエルに肩を捕まれて、引き止められた。 「…何か用か?」 シュラはシエルの方を見ずに、話す。 「…あなた、さっき総司令官に斬りかかったわよね?」 「…だからどうした?」 「だからどうしたですって? 総司令官はあなたの父親でしょ? 父親に刃を向けるってどういう事よ?」 「…シエルには関係の無い話しだ。」 シュラはシエルの手を振り払い、また歩きだした。 「っ?!このっ…!!」 シエルがシュラを追い掛けようとしたが、ロイに引き止められ、諦めた。
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