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『兄さん待って!!』
シュラは必死で男を追い掛けるが、いくら速く走っても男のスピードはますます上がり、追い付けない。
『兄さん!!置いてかないでよ!!』
「兄さん!!」
シュラはベッドの中で天井に向けて右手を伸ばし、目を覚ました。
「…夢…」
シュラは上半身を起こし、冷や汗で湿った右手を左手で押さえていた。
時刻は夕方の4時になり、日は沈み始めていた。
「…行くか…」
シュラはベッドから下り、壁に立て掛けた剣を腰に差し、兵舎を後にした。
そして、シュラは幾つもの十字架が建つ広い野原にやってきた。
「……あれは…」
シュラは入り口の前で立ち止まり、ひとつの十字架の前に立つ一人の男に気が付いた。
すると、男もシュラに気付きシュラの方へと歩いて来た。
シュラは男を睨み付け、殺気を放つ。
男は黒い髭を蓄え、青い帽子を被り、青い軍服を纏っていた。
男はシュラの殺気も素知らぬ顔で平然とシュラの前に立った。
「お前も来たのか…」
「あなたこそ、良く兄さんの命日を覚えてましたね。
忘れてると思ってましたよ…エル・ローレンス総司令官。」
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