第一章 夢

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『兄さん待って!!』 シュラは必死で男を追い掛けるが、いくら速く走っても男のスピードはますます上がり、追い付けない。 『兄さん!!置いてかないでよ!!』 「兄さん!!」 シュラはベッドの中で天井に向けて右手を伸ばし、目を覚ました。 「…夢…」 シュラは上半身を起こし、冷や汗で湿った右手を左手で押さえていた。 時刻は夕方の4時になり、日は沈み始めていた。 「…行くか…」 シュラはベッドから下り、壁に立て掛けた剣を腰に差し、兵舎を後にした。 そして、シュラは幾つもの十字架が建つ広い野原にやってきた。 「……あれは…」 シュラは入り口の前で立ち止まり、ひとつの十字架の前に立つ一人の男に気が付いた。 すると、男もシュラに気付きシュラの方へと歩いて来た。 シュラは男を睨み付け、殺気を放つ。 男は黒い髭を蓄え、青い帽子を被り、青い軍服を纏っていた。 男はシュラの殺気も素知らぬ顔で平然とシュラの前に立った。 「お前も来たのか…」 「あなたこそ、良く兄さんの命日を覚えてましたね。 忘れてると思ってましたよ…エル・ローレンス総司令官。」
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